日本の最難関大学を目指して勉強している高校3年生がいます。
プロの目から見ていて、学力的には余裕とは言わないまでも目指せるだけの力はあります。決して無謀ではない、勝算がある入試です。
ただ、この生徒の受験を共に戦ってきて、最近感じていることは、このレベルの入試は、精神力も必要なんだなぁということ。
最難関大学を受けようとするような生徒は、みんなある程度の頭の良さ、賢さはあるんですよね。一部の天才と言われるような人もいるにはいるんでしょうが、基本的には学力には大きな差はないと感じます。そうでないとそもそもそんなレベルの大学を受けようとはしないので。
ではどこで勝負が分かれるか。それがその生徒の精神力、心の強さ、人間としての強さだと感じています。
この生徒は、よく私に話しかけてきます。
「この問題ができた」「この問題ができない」「この問題が面白かった」「受験校はこういう受け方をしようと思う」「ここからこんなふうに勉強していこうと思う」
その内容自体は真っ当です。
だけど、その話がいつも無駄に長くなります。ここまで長くなるのは、本当のところで自分に自信がないからだと感じます。不安な気持ちを色んな形で吐き出して安心しないと勉強に向かえないから。
そんな生徒に、私は「あのな….」と言って、話します。
「あのな、めちゃめちゃ不安なんやろ?」
「でも、受験っていうのはそういうもんやで。その気持ちのまま、やることやらなあかん。」
「不安な気持ちに負けて、勉強する手を止めたら落ちるよ。」
「自分の気持ちがどうあれ、気持ちが上がってても沈んでても、決めたことを変えずにやり続ける人が受かるんやで。」
「今まではこんなに不安になったことないんやろ?今までクラスの中でも勉強はできる方だっただろうし、このくらい頑張ったら行けるわ!っていう見通しがついてる中で、そんなに悩まず生きてきたんやろ?」
「でもここからの人生はそんなことばっかりやで。見通しがない中で、やり抜いて、結果を出すしかないんやで。」
「今の不安な気持ちを無くそうとせず、その気持ちを持ったまま、やることをやり続けるしかないよ」
そこまで話すと、黙って真剣な顔をして勉強に戻っていきました。
これは本人が頑張って乗り越えるしかないことです。私は応援したり言葉をかけてあげることはできるけど、乗り越えるのは本人です。
不安な気持ちもまるごと自分のものにして、やり続けられるか、やり抜けるか。
残り3ヶ月が勝負です。