2019年06月17日 畠中の日記 一覧に戻る
個に合わせた指導の本質

個別指導の学習塾を運営していると、よくこんな質問を受けることがあります。

「先生との相性が合わなかったら、先生を替えてもらえますか?」

もちろん「替えることができます」とお答えしていますが、目的や狙いによっては替えないこともあります。

「どうも先生による説明がわかりにくい」と言われてそのようなご相談を受ける際、その子が今困っていることを解決したい場合は、先生を交代します。しかし、その子が今困っていることを解決することよりも、未来の自分のために必要であれば、交代しません。

「社会に出たら、この子が社会に合わせて生きていかなければならなくなるんです。会社の文化やルール、地域の文化、新しく家族をもったなら一緒に過ごす人の価値観など、今はまだ子どもだから、私たち大人がこの子の性格や考えに合わせて指導や支援をしていく必要はあります。しかし、その指導や支援は、大人になるとなくなってしまうのです。そのときに、自分一人で立ち、自分一人で生き抜いていく力がなければ、今困っている問題を、先生を交代させて解けたとしても、未来の力にはなり得ないことがあるんです。この子に合わせて指導はしますが、この子は、難しい説明にも論理的な思考にも合わせていけるようになる努力が必要です。この子がこの先生についていけると、ついていかなければならないと判断した場合、先生の交代はありませんよ。」

そう保護者に説明すると、多くの方は「たしかに」と頷いてくださいます。目先の成績やテストの点数を追いかけるための学習塾なら、他塾にお任せしたらいいんです。私が経営する塾は、その子の未来からみて、今の指導を決めています。どんな大人になるか、どんな大人になってほしいか、そんな親御さんの考えを聞き、今から10年先までのプランを練り上げる。そうなると、「わかりにくいから」という理由だけで、「はい、わかりました」と先生を交代させることが必ずしも是ではないのです。

大事なことは、その子のどこをみて指導をしているか。お母さんも「そういえば、目先の成績に一喜一憂していたわ」と思ってもらえるような助言ができたとき、もっと大局的にみると、その子の人生が幸せであってほしいという願いからきているわけですから、その描を一緒に見ることができたら、包括的なとっても深い指導ができ、大いに喜んでいただけるようになるようになるのです。