離れた別世界だからこそ、いいよね!
私のことを、社長と思わずに社長として接してくれる社員を誇りに思います。
夜な夜な、私自身も普段触れなかったような考えや気持ちを話したときの社員の反応は、それはもうとても気持ちのいいもので、立場なんか一切気にせず、大切な仲間として接してもらっていると感じるほど、まっすぐに意見を言ってくる。だから私は、簡単に「そうだな」と受け入れる。
お互い、10年後、何をやっていたいか?って話していましたが、肝心の私自身が本当に出てこない。昔は、たくさんあったのに、頭をひねっても逆立ちしても出てこない。社長がそんなことで、ビジョンもなくていいのか?って思うけれど、みんなが掲げたビジョンが達成できる会社にはしたい。社員の「これやりたい」を叶えたい。
それをおもしろく、楽しく、まるで夢中になって遊んでいるかのようにやりたい。だから真剣だし、怒ったりもするし、休まず働くときだってある。そんな夢中になる会社にしたい。抽象的だけど、物欲も少なくなり、自分の力量もわかっているから、本気を出せばどの程度まで行けるかもわかってきた。すると次は、もっともっと心が満たされることをやりたくなるもので、人に分け与えたくなるものなのかな。世界中に分け与えたくなるほどの力も財力もないから、私はほんの数人の社員にそれをやろうって思っている、そんな実力。でも、数人でも幸せになるきっかけを作れたのなら、生きててよかったって思えることでしょう。
ずっと語り合ってた時間は濃く、楽しかった。そしてみんな、別荘に喜んでくれた。人が喜ぶことが、自分の喜びになるなんては、若い頃は想像できませんでした。そんなやつ、嘘つきだと思っていました。喜んでもらおうと生きるのではなく、人からよく思われようとするのでもなく、ただみんながそれを望むなら、それをやろうじゃないか!って気持ちになる自分にびっくりしています。
帰り、社員と別れるとき、「じゃ」と言ってからもう一度呼び止められ、
「社長、いいですか?現場に行ってもいいですけど、すぐに帰るんですよ」
と釘を刺されたこともまた、少しずつ、社員が私を頼らずに会社を動かしていこうとする姿勢が芽生え始めた証。こちらも嬉しく思います。