2017年06月25日 小さな野球部の物語 一覧に戻る
vol.25 度が過ぎることで、いいかげんを知る

警察の方が来ちゃったことも…

ある日、いつものように怒声の響き渡るグラウンドでのこと。

暑くもない5月上旬にもかかわらず、「暑い」とダラダラ練習する様子に、頭に来て怒ります。
その日の子どもたちは妙に集中力がなく、ダラダラ。後からわかったことですが、体育の時間でシャトルランという種目をやっており、走りまくっていたそうで、部活の時にはすでに体力が消耗されていました。そういうことが影響してしまうのが中学生でしょうか。

しばらく練習していると、グラウンドの向こうの方から、僕の名前を呼ぶ声がします。
教頭先生が僕を呼んでいるではありませんか。隣には警察の方が。「なんだろ?」と思って行ってみると、

「この辺で先ほど、もの凄い怒鳴り声が聞こえたと通報があったのですが、心当たりありませんか?」

「それって、いつのことですか?」と尋ねてみると、

「つい先ほど、通報があったのです。ちょうど、野球部のグラウンドのすぐそばにあるお家からの通報でしたので、野球部の先生や子どもさんでしたら、何か知っていらっしゃるかと思いまして。」

横にいた教頭先生が「キミの声じゃないの?」と笑って言うので、警察の方が「何か大声を出してらっしゃったのですか?」と真面目に聞いてこられます。

「いや、恥ずかしながら、一応、野球の指導のため大声は出してたんですが」と答えると、警察の方は、笑いながら「それかもしれませんな」と。隣のお宅に聞こえるほどの大きさであったことは間違いありませんが、まさか通報されるとは。

ま、何もなければそれでいいです。と帰られましたが、 後に、職員会議で「部活の指導に熱心にしていただいている毎日ではありますが、くれぐれも、地域住民の方々の迷惑にならないよう、生徒への指導をよろしくお願いします」と、校長先生がすべての先生に向かって言っておられました。

面目ないことですが、若いうちだけ、度が過ぎても許してもらえることがあります。そして、自分のよいかげんを知っていきます。