2018年12月19日 アクティブラーニング 一覧に戻る
力のない男も戦力になる vol.2

子どもたちが懐くその男は、次第にその塾ではなくてはならない存在になっていきました。
もちろんアナログなことしかできません。パソコンも上手に扱えない。笑)でもその人懐っこさが武器です。

子どもたちの保護者が、いろいろな悩みを話すようになってきました。気の利いたことの言えないその男は、ただじっと話を聞くばかりで、最後には「頑張ります」しか言いません。なのに、それでうまくいっています。なぜか!世の中のお母さんってのは、話を聞いてもらいたいから。そのニーズをたまたま満たしてしまっているのです。

家では、夫に相談しようにもお互い忙しく、それほど深く話ができなかったりして、といっても職場の人や友達に話せるようなことでもない、我が子のこと。当然、評価する側の学校の先生にも話せないわけで、塾という場所は、それを深く話せる存在でもあるのです。

「別に、アドバイスしてほしいわけでも、何か言ってほしいわけでもないのよ」

そうつぶやきながら、ただ話を聞いてほしい理由を述べるお母さんに何人も出会いました。だけど、塾の先生って、塾としての専門家としての仕事をしなきゃって思いから、ついつい助言をしがち。その男は、助言ができないだけなんですけど、ただ話を聞いているだけってことが、お母さんのニーズにピタリとハマった。笑)

だからね、何が良いとか何が悪いってわけじゃないと思うのです。人の能力って。その活かし方。

彼は言います。

「今まで生きてきた人生の中で、今が一番一生懸命やっています」

そりゃ、あたりまえですよ。一人で塾を切り盛りしているんだから。偉いもんですよ。一生懸命、能動的にやり始めたら、それなりになっていくんだから。人の力ってすごいと思います。