2017年07月20日 小さな野球部の物語 一覧に戻る
vol.31 いじめの解決方法

部活の中では、見えないところでいじめが起きているものです

ふと、様子がおかしくなった野球部の子がいました。ちょっと気弱で、野球も上手ではないので、どちらかといえば、攻撃される対象になる子です。
その子が、突然、部活に顔を出さなくなった日。すぐに、探りを入れることにしました。これを見逃してはいけない。

その子の担任の先生を通じて話を聞いてみると、部活の仲間でわりと力のある子から、いじめられているということでした。

パシリのようにこき使われたり、クラス中に恥をかかされるようなこともされるらしいのです。いじめをする子は、とにかく先生の見えないところでやるのが上手だから、なかなか表面化しない。悪いことは賢くやる知恵はあるんです。

いじめの解決は、それほど難しいものではありません。しかし、指導者には勇気と覚悟が必要です。絶対に、丸く収めるという覚悟。
まず、いじめられている本人が、自分はいじめられていると口に出して言えるようにすること。その後、いじめた子を全員の前で叱る。どういう理由であれ、相手が不快になって辛い思いをしているにもかかわらず、それを感じ取れてないことが、どれだけ鈍感なことか、教えてやらなければなりません。いじめは、最低の行為として、今まで見せたことのない形相で叱ります。

しかし一方で、いじめられた子の味方にもなりません。いじめられているなら、戦え!相手から逃げるな!自分の力で状況を打開しろ!それくらいのことができなければ、世の中で活躍してはいけない。弱い自分を認め、強くたくましく生きてほしいのです。

関係者全員、この場合、1年も2年も3年生も、野球部全員の前でこのことをしっかりと取り扱って、本人同士だけでなく、他の部員全体に指導する必要があります。当人同士だけで手打ちにしたりじゃなく、臭いものにフタをするのでもなく、今後、こういったことが二度と起きないように、全員の前で、しっかりと公開し、絶対にやってはいけない!という先生の断固たる姿勢が求められます。

私はずっとこのときを、このチャンスを待っていました。
こいつらが、精神的に強くなれるかどうか、そしてこの問題をどう乗り切らせるか、また、チームとして強くなれるかどうかを超えて、人として成長させられるか、私の指導力が問われる場面です。