2017年07月20日 小さな野球部の物語 一覧に戻る
vol.30 部活は道徳の授業である

道徳の授業の題材は、すぐ目の前にたくさん転がっています

野球部の子どもたちには、うまくいかないときに人のせいにする気持ちや、いつも全力で練習に取り組まない姿勢のうちは、チームとして強くなれないことに気づいてほしいなと思っています。
話し合いの中で、それに気づき始めている子もいて、もう少し見守っていく必要があります。

ある日のミーティングで、私は突然、言い放ちます。

「おまえのその姿勢、気に入らんな」

びっくりして、ある生徒がこちらを見ます。彼の中ではちゃんと話し合いに参加しているのでしょう。

「全員が、みんなを見て話をしたり、聞いたりしている中で、おまえだけ、横向いて聞いているな。素直に参加している姿勢には見えんな」

「はあ」

「その姿勢を、その態度を、2年のあるヤツが真似してるんだわ。よくも悪くも、おまえたちの背中を見て、下級生は野球に取り組んでいるんだ。なのに、おまえたちは、よく2年に、早よ来い!とか、これ片付けろ!とか言うよな。自分たちはやらないのに。だから今、2年が1年に同じことをしている。それがどういう意味かわかるか?」

キョトーンとして聞いています。わからないかもしれません。人のことあーだこーだ言いたくなるのはかまわないが、それはすべて自分たちの身から出た錆であるということ。

自分がどんな姿勢で生きているのか、どんな意識で生きているのか、それを私は気づかせてやらなければならないんです。それが、周りに対してどのような影響を与えているのか。
野球うんぬんかんぬんではありません。野球を通して、毎日が道徳の授業になっています。