2017年06月15日 小さな野球部の物語 一覧に戻る
vol.23 人を育てるヒントは、厳しい取り組みの中に

厳しいことに取り組む姿勢の中に見えるもの

「おーい、1年生、まず30周してこーい!」

目を丸くしてこちらを見る1年生。

「さ、三十周スか?」

3年がびっくりして聞きます。

「そだよ、それくらい走れんとなぁ」

春の大会翌日からAチーム、Bチームに分かれて、1年生は30周して筋トレ。2年生は下手くそなんで、投げ方捕り方を個人指導です。
3年は、いつものようにグラウンドで練習。1年生にとっては、野球部は厳しいことを頑張るところだってことを教える時期。1年生が3年生になる頃、最低でも府大会まで勝ち進む力をつけるためには、精神的な土台をつくる今が一番大事です。

頑張る1年生も、20周くらいから足が動かなくなります。走り終えてそのまま保健室に直行する子もいました。そりゃ、そうです。それもわかった上で、倒れるか倒れないかのギリギリまで追い込みます。だからその見極めを誤らないように、にこにこしながらも繊細に見ています。泣きながら、顔を真っ赤にしてヨタヨタと、歩いているように見える走りは、見ていて痛々しいですが、「がんばれ、がんばれ!」と励ましてやります。

「しんどいときは、仲間で支え合え!」「仲間が頑張れ!と言ってやれ!」

すると、走っている子が、目の前の仲間を追い越すとき、「頑張ろ」と声をかけはじめます。
自分が抜かすときは、励ます。30周走り終えても、まだ走ってるヤツに「頑張れ!」と声をかけている。泣いているヤツにも、走りながら水を渡している。そんな光景が見られます。

最後の一人が走り終えるのを、全員で水も飲まずに待っています。いい子たちでした。厳しい練習の中に見られる、この子たちのしぐさや態度、頑張る姿勢に、これから適切な指導をしていくためのヒントがたくさん詰まっています。

人を育てる基本だと思います。