2017年04月30日 小さな野球部の物語 一覧に戻る
vol.12 ファインプレーよりも嬉しいプレー

練習でやったことを、やる

4回表も5回表も、キッチリ0点に抑えて5回裏。先頭バッターがヒットを打って塁に出ます。一度もバッティング練習してないにもかかわらず、この子たちはよく打ちます。なぜでしょう。いい意味での誤算でした。

盗塁させてノーアウト2塁。次のバッターにバントのサイン。ずっと走塁とバントの練習をしてきたので、ここでキッチリ決めると、練習してきたことが出せたことに沸き、一気に流れがこちらに傾きます。
バッターの子は、背は小さいけれど、ずっと頑張って練習していました。2回失敗して2ストライク。
それでもまだ、バントのサインを出します。状況が苦しくなってもやることは変えません。必ず、練習でやってきたことを本番でやるんだ!という姿勢です。

練習でずっとやっていた、ライン際ギリギリにバントを見事に決めました。足が速ければ、セーフになったことでしょう。

「おお!ナイスバント〜」ベンチは沸き立ちます。

さらにチャンスを広げて1アウト2、3塁。逆転のチャンス。バッターは、さきほどタイムリーツーベースを打った子が、またもライトオーバーのツーベースヒット。2点入って4ー2。

逆転です。

ベンチは大盛り上がり。続くバッターも四球で塁に出て、1アウト1、2塁。畳み掛けるように仕掛けます。ダブルスチール。走塁の練習をしてきた成果も出ました。

完全にこちらのゲームにするためには、もう一度攻撃して点を取っておきたい。
1アウト2、3塁。リードしている場面だったので、さらに仕掛けてもよかったのですが、僕自身が先ほどの失敗が脳裏をよぎって、サインを出すこともなく、後続が2人とも倒れてしまいました。

試合が終わってから思いますね。いらないところで焦ってサインを出して失敗。仕掛けていい場面なのに、前回の失敗がよぎって、タイミングを逃してしまう。これぞまさに、素人采配です。

逆転しました。ここで勝ちを意識すると、そこにスキが生まれ、ミスが出ます。
彼らがどう守るかな…。その懸念は、思わぬアクシデントまでも引き起こしました。