2017年04月25日 小さな野球部の物語 一覧に戻る
vol.11 素直さは、能力です

素直さは、時に漫才も凌ぐ面白さ

3回裏。
カンタンに2アウトになってしまいました。ここで攻撃が終わってしまうと追撃ムードが消えて行く恐れがある中で、一番足の速い子が、相手のエラーで出塁しました。そして、これまでなかなかストイックに練習に取り組んできた子がバッターボックスに。

「こいつ、なんとかするな」と感じた瞬間…

大きなツーベースヒットを打ったではありませんか。
3回裏に1点返すことができ、追撃ムードを創り出すことができました。

続く4回裏も、2アウトからの連続ヒットから同点とします。
さらにランナー2、3塁の場面で、バッターには、先ほどセカンドライナーを打ってしまって泣いていた子。バッターボックスに向かう前に声をかけます。

「みんなが同点にしてくれたなぁ。これでおまえのミスもチャラだ。みんなに感謝して、みんなのためにいってこい。」

「はい!」

その子がバッターボックスに入るとき、なんだか様子が変でした。「?」と思った瞬間、いきなりバッターボックスからみんなに向かってお辞儀をするではありませんか。みんなもア然。この子なりのみんなに対する感謝の気持ちの表し方でした。

面白かった。

中学生ってまだ幼い部分は残っています。子どもって面白いほど素直だなと思った瞬間でしたね。

それでもアウトになってしまいましたが、悔しそうに守りに散って行く彼らの姿に、先ほどのトリプルプレーがチャラになっているように感じました。
4回を終わって2ー2の同点。どちらに流れが転んでも不思議ではない五分五分のまま、終盤へと向かっていきました。